強迫性障害の治療

 強迫性障害の治療は行動療法や認知行動療法、抗うつ薬を用いた薬物療法が有効です。行動療法ではエクスポージャーと儀式妨害を組み合わせた、ERP(Exposure and Ritual Prevention)が用いられます。

 エクスポージャーとは、恐れている不安や不快感が発生する状況に自分を意図的にさらすもので、儀式妨害とは、不安や不快感が発生しても、それに対する強迫行為をとらせないという手法です。これらは患者の不安や不快の段階に応じて実施されます。行動療法は単独でも用いることができますが、強迫観念が強い場合、薬物療法導入後に行動療法を行う方が成功体験が得られ易い事が知られています。

 嫌な単語が繰り返されるタイプの強迫観念のみの場合は行動療法が行いにくいため、強迫行為よりも治療が困難となります。最近ではこのタイプも、強迫観念の内容を現実的に解釈しなおしたり、強迫観念を回避したり阻止したりせずそのままにするといった治療方法が有効である事が知られてきました。

 薬物療法としてセロトニン系に作用する抗うつ薬は、強迫観念を抑える事が知られており、現在の日本では選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) である塩酸パロキセチン、マレイン酸フルボキサミン、もしくは三環系抗うつ薬である塩酸クロミプラミンなどが用いられます。

 また、アリゾナ大学の精神科医・Francisco A. Moreno氏等が実施した小規模臨床試験の結果、マジックマッシュルーム(幻覚誘発きのこ)の成分であるサイロシビンが重症の強迫性障害に有用であると判りました。サイロシビン服用によって、試験に参加した9人の強迫性障害の症状がおよそ4~24時間にわたって完全に消失しました。
 サイロシビンは一般使用が禁止されていますが、医学研究で使用することは可能です。